1936年 世界初の実用ヘリコプター、Fw61が初飛行

フォッケウルフ社創始者の一人、ハインリヒ・フォッケはシエルバ社の オートジャイロ機(C.20)の ライセンス生産を通じ、回転翼機の開発に意欲を示した。
 フォッケは1932年から回転翼機の開発に着手し、34年にはモックアップを完成させた。翌年 ドイツ航空省は彼の研究に対し、原型機製作の指示を出した。

原型機は胴体部分に Fw44をベースにしたものが使用 され、機首部に設置された空冷エンジンで、胴体両側面に張り出した支柱に取り付けた2つの回転翼を 駆動させる方式だった。ローターは回転トルクをうち消すため双方が逆方向へ回転したが、垂直移動時 のピッチ変更は現在のヘリコプターのように羽根の角度を変更するのではなく、エンジンのスロットル を調整してローターの回転速度を変える方法で行っている。

なお上掲写真でも判るように、機首にも小型の プロペラが装備されているが、これはエンジン冷却用のもので飛行(推進)には無関係であった。
 36年6月に原型1号機が初飛行し、このときは約30秒(28秒説が有力であるが、フォッケ自身 が記した飛行記録では45秒となっている)飛行しただけだったが、その後、原型1号機や2号機を使 用して到達高度や滞空時間、飛行速度の回転翼機世界記録を次々に樹立した(この頃にはフォッケはフ ォッケ・アハゲリス社を設立していたため、機体名称はFa61に改称されていた)。
 これらの成功によりルフトハンザ社から乗客輸送型の回転翼機開発の発注が行われ、Fa266(と その軍用型であるFa223)が 生まれることになった。